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大和本草
十二雑木
莽草 是しきみの木也、国俗抹香として仏前にたく、皮も葉も用ゆ、本草毒草部にのすといへども、宗奭が説、木なる由いへり、宗奭が説よくしきみに合へり、入門似石南、順和名にも莽草おしきみと訓ず、可以毒〓魚者也といへり、毒木なり、其実お食へば死す、しきみとはあしきみ也、有毒故名づく、小児お戒めて食はしむべからず、又樒の字日本にしきみとよむ、順和名にも亦しきみと訓ず、莽草と別物なりやいぶかし、しきみの葉おこくせんじたる温湯お以、腫物風湿皮膚に滞るお洗ふ、有虫、小瘡お洗ふ、甚験あり、有毒故也、又蛙牙(むしくひば)腫痛に、濃煎、湯熱含、吐之漱口勿咽、