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増訂豆州志稿
七土産
樟(くす)、楠(くす)、 樟は気甚芬烈以て樟脳お製す可し、一種嫩芽鮮紅なるは脳殊に多し、楠に二三の種類あり、 増、共に久く水湿に堪るお以て船材と為し、又老樹お以て器具お製す、〈本草啓蒙に曰く、豆州樟樹老たる者は木理美にして、之お玉もくと雲と、〉州中樟楠の古樹多し、然れども数百千年お経たるは樹幹朽腐して、其中空お為す、宇佐美村春日祠域の樟は、空処八席お敷く可し、延宝中幕府此地の樟お伐て阿武(あたけ)丸の船材と為す、今其蘖合抱なる者あり、