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日本山海名物図絵

樟脳製法 くすの木と雲もの二品あり、樟は木の心赤黒く香つよし、楠は香すくなし、木の心赤黒からず、是には大木多し、くさりては岩と成也、樟脳は樟の根おはつり取て、其こけらお釜にて煎ずる也、小屋の内に二十四釜おかけ、二通にする也、一通に十二釜づヽせなか合せにして、間三尺ばかりあけ、其間お往来するやうにこしらゆる也、釜のふたは鉢也、釜と鉢との間お土にぬりて、いきの出ざるやうにする也、其ふたへたまりたる露、則樟脳なり、