[p.0263]
重修本草綱目啓蒙
二十三香木
釣樟 詳ならず くろもじに充る古説は穏ならず、くろもじは一名くろもんじや(○○○○○○)〈豆州〉くろもんし(○○○○○)、〈大和〉とりき(○○○)〈越後〉とりしば(○○○○)〈仙台〉まつふさ(○○○○)、〈南部〉くろとりぎ(○○○○○)、〈野州〉ぢしや(○○○)〈信州〉びしや(○○○)、〈同上〉子そ(○○)、〈越前〉ふぐき(○○○)、〈雲州〉山中に多し、小木なり、高さ六七尺、木皮淡緑にして黒斑あり、香気多し、皮お連て牙杖(やうじ)に製し売る、葉は細長くして堅く、柯樹(しきの)の葉に似たり、春初未だ葉生ぜざる先に、花お開く三五簇生す、淡黄色五弁にして小し、後実お結ぶ、大さ南天燭子の如し、秋に至り熟して黒し、又一種大葉の者あり、又円葉の者あり、倶に漢名詳ならず、