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難波江

紫陽花 万葉集巻廿、〈四十六才〉安治佐為能、夜弊佐久と有るお、六帖草の部にのせたり、さて万葉集巻四、〈五十七才〉事不問、木尚味狭藍と有り、これはたしかに木とよめり、〈但此歌一首の意解かぬれば、六帖にのせぬにや、六帖の比には歌はきこゆれど、草とさだめたるからは、木尚とあればのせぬにや、〉和名抄廿巻本には、草部に紫陽花と題して、白氏文集お引証としたり、十巻本にはのせず、近日の本草薬名備考和訓抄には、木部に入て、花鏡お引て八仙花と有り、又物品識名にも、木部に遵生八揃お引て、聚八仙と有り、本草にはみえず、新撰字鏡に、草部、〓〈止毛久佐、又安知左井、〉と有れど、〓の字お安治左為にあてたる拠、おのれ〈◯岡本保孝〉いまだしらず、物産家にとはまほし、又一種がくといふあり、あぢさいの種類なるべし、漢名詳ならず、中世よりがくの花と歌によめり、字音にて額の字なるべし、神社の額に似たるよりの名歟、