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地錦抄附録

若木不断桜(わかきふだんざくら) 源氏若木桜の実生にて、かはりて出来たり、はるより秋まで花咲なり、枝ほそく痩形にて、葉もちいさくしほらしく、尺にたらずして花多くさく、小鉢に植てながめよし、春は山桜より少しはやく咲、花ひとへ小りんなり、又五六月ごろに若芽出て、さきに花多くしげりて、春の花よりにぎやかにて、猶ながめよし、秋若芽出て花さく、山桜に接木してよくつくものなり、