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今昔物語
二十四
敦忠中納言南殿桜読和歌語第三十二 今昔、小野宮の大き大臣左大臣にて御座ける時、三月の中旬の比、公事に依て内に参り給て、陣の座に御座けるに、上達部二三人許参り会て候はれけるに、南殿の御前の桜の器の大きに神さびて艶ぬが、枝も庭まで差覆て〓く栄て、庭に隙無く散り積て、風に吹き被立つヽ水の浪などの様に見えける、