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三養雑記

好文木(かうぶんぼく) 梅お好文木といふことは軒端梅の謡曲にありて、人の知ことなれども、唐土の書にはたえて見えざることなり、臥雲日件録にも見えたれば、ふるく故事とすることヽおもはれたり、さてその来所は、謡古抄に、好文木晋起居注雲、哀帝読書、則四時随之開華、故好文木と雲なり、また東見記に、梅雲好文木、故事在晋起居注、晋武好文則梅開、廃学則梅不開雲々とあり、武帝哀帝いづれか是なりや、説郛などにも、起居注はくさ〴〵収めたれど、好文木の事は見えず、