[p.0321][p.0322]
一話一言
十六
白山梅〈◯中略〉 白山のみそのヽ梅のか心にしみわすれがたく、同月〈◯二月〉十七日ふたヽびゆきてみる、老杜がかさねて何将軍の山林にあそびし心地す、今日は豚児おもぐしたれば、案内のものにとひて梅の種類おわかち、矢立とりいでヽ書つく、芥川氏のかたは梅の種類多し、 丁梅〈養老梅ともいふよし、案内のものヽいふ、うす紅、花も実もよし、もとは此種のみありしが、後に多くの種おうへしとぞ、〉 四月十六日重遊此園看芍薬花、岡田氏雲、丁梅は、享保六年紀州丁(よぼろ)村より御取よせありし梅なる故に、丁(よぼろ)梅といひしお訛りて、養老梅と雲しとなん、紀伊国海士郡紀州御領丁(よぼろ)村、今はやうらう村と雲、 箙の梅〈白く重ねあつし〉 鶯宿梅〈白八重小りん、匂ひふかし、〉 加賀梅〈白く一重にして花形梅鉢の紋の如し、実もよし、〉 ぜんぎ梅〈白一重、加賀梅に似て実なし、〉 蘇芳〈紅八重〉 座論〈紅一重〉 更紗〈白に紅文あり〉