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古今要覧稿
草木
八朔梅(○○○)八朔梅は八月朔日ごろよりさきそめて、冬至にいたり多くひらく、故にしか名付しなり、西国にては寒紅梅(○○○)といふ〈大和本草〉といへり、何人のいつ頃よりいひ出し名にや、そのはじめおしらず、花房正矩園中百種梅の中に、古巣といへるは、八月頃よりさき、八重なりといへば、今いふ処の八朔梅ならんに、その名おあげざれば、当時いまだ知人まれなりしにや、和漢三才図会にものせず、松岡玄達は八月より二月にいたる一名からくれないといふといひ、〈梅品〉春田久啓は八朔ころより一二輪さきそめて初春にいたると〈韶勝園梅譜〉いへり、また一種八九月頃と初春と二度さく花に八朔といへるあり、