[p.0329][p.0330]
古今要覧稿
草木
臥竜梅(○○○) 臥竜梅は亀井戸梅やしきに植る所、古木にして世のしる所なり、まヽその種お植るものあり、正月末より開く、花は単弁清白中輪にして、上花也、蕚黄緑にて紅色お帯たり、その香馥郁として数歩にかほれり、又一種淡江のものあり、花形白色のものと異ならず、されど清白の方お真の臥竜とすべしと〈春田久啓韻勝園梅譜〉いへり、淡紅は即白花より変ぜしものなるべし、諸書に淡紅の説見えず、その木の形枝の末、地中に入て幹となり、枝と成てはひわたる故、臥竜梅と黄門光国卿名付給へりと、今は其地中より出し幹ひともと〳〵にわかれて数株となれり、其地中へはひし枝は皆朽たり、