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古事記伝

桃子は毛々能美(もヽのみ)と訓べし、〈凡ての木草に、花おもて名るもあり、実おもて名るもあり、幹おもて名るもある中に、実お以名けたる梨栗柿な〉〈どは、実と雲ねど、実のことになりて、梨の実柿の実とは雲ず、されば桃も其類とせば、実おもただ毛々と雲べし、和名抄にも菓類に収て、桃子和名毛々と注し、其外も梨子栗子椎子などヽ出せり、然れども桃は花おも賞る木なり、又こヽの様お思ふに、坂本なる毛々とのみいひては、其木のことヽ聞ゆれば、なほ美と訓べきにこそ、〉