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重修本草綱目啓蒙
二十一五果
杏 からもヽ〈和名抄〉 あんづ 一名孔壇仁実〈事物異名〉 南郡金腴 上林 文実 旅壇真味 漢苑遺文 董林勝果 草金丹〈共に同上〉 文杏〈行厨集〉 星精〈同上〉 紅玉〈名物法言〉 杏児〈訓蒙字会〉 花一名花友〈事物紺珠〉 艶客〈同上〉 砕錦〈行厨集〉 麗色〈尺牘双魚〉 江錦〈同上〉 倚雲客〈花鳥争奇〉 出墻焼林〈名物法言〉 仁一名徳児〈輟耕録〉 老陰子〈袖珍方、老陽子は巴豆の一名なり〉 古名からもヽ、今からもヽと呼ぶ者は寿星桃なり、今はあんずと雲、即唐音杏子の音の転なり、杏樹は梅樹に似たり、紅梅に次て花お開く、鵝梅(ぶんごむめ)花の形と同して大なり、花後葉お生ず、円尖にして細鋸歯あり、梅葉より大なり、其花単なる者は実お結ぶこと多し、千弁なる者は実お結ばず、是おはなあんづ(○○○○○)と雲、時珍の説に、有千葉者不結実と雲へり、その実は梅実に似て大なり、しろあんづ(○○○○○)と呼ぶ者お上品とす、形大にして黄白色味美なり、宗奭の説に、又有白杏と雲是なり、又もちあんづ(○○○○○)あり、形大にして黄赤色味甘し、容宗奭の説の金杏なり、又すあんづ(○○○○)あり、時珍の説の梅杏なり、味酸し故に梅と雲、〈◯中略〉 増、あんづは唐音あんつうの略なり、又しろあんづに同名あり、白花のものもしろあんづと呼ぶ、〈◯中略〉又女南甫史雲、其仁有毒、須煮令極熟以中心無自為度と雲へり、