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続狂言記

連歌毘沙門 〈初あと〉扠いつものごとく年籠いたさふ、〈あと〉よふござろ、ゆるりと御ざれ、少まどろみましよ、〈◯中略初あと〉いや別の事でもござらぬ、夜前は多門天より、御ふくお被下てござる、〈あと〉それはめでたいことでござる、何お被下たぞ〈あと〉福ありのみお被下てござる〈◯中略〉〈して〉是はざれごとじや、是はなんばのほこといふて、さびるほこではおりなひ、さらばはいぶんおしてやらふ、〈色〉いでいでありのみわらんとて、なんばのほこおとりなおし、まん中におしあて、さつくり、扠も〳〵かたわれもなふよふわれた、さあとれ、女もとれ、あまり見事なありのみで酢だまりが出来た、是は多門天が徳分にしてたべう、