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広益国産考

梨お多く作りて利お得る事〈◯中略〉 木植するには、先其土地の地味およく見立べし、予〈◯大蔵永常〉先年美濃の国大垣の在、梨お作りし所に参りし事あり、其辺は余り上地にてはなく、黒土がちにてありしと覚ゆ、都て木は山によく育つ性分なれば、あまり上地ならざる山土の方能生育すると見えたれば、作物のとれかたすくなき地面お撰び仕立べし、然し風当強く北請の地、又は日蔭抔は忌べし、南請の風すきよき所お見立べし、植るには弐間宛間置植べし、植付たるとしは、此ごとく〈◯図略〉竹にて鳥居の如くして、其中に縄もてゆるく括付置べし、其翌年は六七尺にも伸べし、三年目には地より七尺高さに竹にて棚おかき枝お四方へくばるべし、