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重修本草綱目啓蒙
二十一山果
鹿梨 やまなし(○○○○)〈和名抄〉 ありのみ(○○○○)〈京〉 いぬなし(○○○○)〈濃州〉 ゆでなし(○○○○)〈雲州〉 一名児梨〈典籍便覧〉 牛爾梨〈薬性纂要〉 京師にては市中に栽えず、八瀬大原辺の民家に多し、木高大にして梨樹に異ならず、葉も形同して枝に刺あり、春未だ葉お生ぜざる已前に、白花お開くこと梨花と同じ、実は桃実より小にして、冬に至て熟し、食ふべし、夫より已前は洩せざれば食はれず、京師にては中元の仏供とす、その木に文理ありて羅の如し、