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百品考

棠梨 一名野梨一名加冬梨 和名こりんご〈◯中略〉 北国に自生あり、花戸に多栽て海棠林檎お接ぐだい木に用ゆ故にかいだうだいと雲、木の高さ一二丈、葉は林檎に似たり、又二岐三岐ありて、山査子葉の如きもの交れり、花は海棠に似て色白く、稍後れて開く、後実お結ぶ、海棠より微大なり、霜降る比実熟す、色黄なり、味海棠に劣る又粉紅花お開ものあり、古来やぶりんごお以て棠梨に充つ謬なり、やぶりんごは葉山槎に似て、三岐五岐のもの多し、春花お開く、一処に多く聚開く、五弁白花にして李花より小なり、又紅花あり、実は小にして営実(いばらのみ)の大さなり、熟して澀く堅く食ふべからず、果部に入るべきものにあらず、