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大和本草
十二花木
海棠 唐の賈耽が百花譜に、花中の神仙と称し、又華夏の人花中の名友と雲、彭淵材は海棠に香なきお恨む、真海棠は二三月に花開く、実の大比林檎小、其形も味も恰如林檎可食、八月に至り遅く熟す、真海棠はからより来る、山海棠は本邦処々の山にもとよりあり、中華より来るは南京と析江との二種あり、日本にて糸桜と雲物、唐人は垂糸海棠と雲、海棠の類にはあらず前に記せり、本草に海棠子(み)おまけば花遅し、梨と本瓜に接げば早茂す、海棠は梨の類なり、