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大和本草
十二花木
木瓜(ぼけ) ぼけはもくくはの転語なり、本邦のぼけ数種あり、寒木瓜(ぼけ)花小にして紅なり、帯黄色有実、淀木瓜、花紅にして美し無実、白木瓜、葉初生時色鮮緑、長春木瓜、一月より花開春夏有花、唯秋無花、十二月正月花猶よし、花紅なり、からぼけ、花初白く中比淡紅後に深紅、八重ぼけあり、草ぼけ、高一二尺野に多し、花赤色木に刺(はり)あり、果小し、武蔵野にしどみと雲、草木瓜あり、其実の大さ肥後梅ほどあり、土民其醋お用ゆ、榠樝に葉も実も同じくして甚小也種木の形梨に似たり、高大なるは丈許、大抵六七尺、刺ありといへどもまれなり、其実木瓜より頗大なり、又一種花大に紅白二色あり、実も右二種より大なり、刺多し、山州鷹峯にあり、猶品類多し、不可窮尽、凡木瓜の花盛久し、可愛、木瓜のすお鰻鱧にかくれば甚大になる、木瓜とうなぎと同食すべからず、