[p.0370]
重修本草綱目啓蒙
二十一山果
榠樝 くはりん きぼけ 市中に多く植ゆ、高さ一二丈、木大になれば皮一二寸ごとに、鱗の如くなりて落つ、そのあと数色ありて美はし、冬は葉なし、春新葉生じ、三月の末に花お開く、葉は林檎の葉に似て長大なり、細鋸歯ありて、質堅して互生す、花は五弁淡紅色、実の形甜瓜の如にして小く末の方闊し、秋に至り熱して、淡黄色香気多し、味酸澀食し難し、蜜薑お以て製して菓とす、かせいたと雲、薬舗には竪に四つに切り乾て、木瓜に充て売るは非なり、舶来木瓜中にも、此小なる者お竪に二つに切り雑ゆる者あり、宜く撰ぶべし、くはりんに同名あり、唐木のくはりんは花櫚の唐音にして喬木類の櫚木なり、