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重修本草綱目啓蒙
二十一山果
枇杷 びは(○○)〈和名抄〉 びや(○○)〈本草類編選〉 こふくべ(○○○○)〈同上〉 一名蝋児〈典籍便覧〉 蝋兄〈清異録〉 炎果〈事物異名〉 俗客〈事物紺珠〉 夏果 金珠 上林〈共同上〉 花一名負雪〈名物法言〉 葉一名無憂扇〈輟耕録〉 木久しきお経ざれば実お結ばず、故に俗に栽し人死せざれば実お結ばずと雲、葉冬お経て枯れず、形長大にして大槲葉(はヽその)の如にして、鋸歯細くして厚く、背に褐毛あり、薬には毛お去り用ゆ、冬月枝梢ごとに二三寸の穂お出し、小白花お簇生す、採て瓶花に供す、唐山にてはこの花お欵冬花に偽ると雲、唐山に欵冬少き故なり、花後実お結ぶ、五月に至て熟す、正円大さ金柑の如く、熟して黄白色微毛あり、唐山には白色の者ありと般山志に雲へり、皆一枝に二三十簇りて葡萄の如し、肉少く〓大なり、〓の形竜眼〓の如く、栗殻色二〓の者多く、独〓の者は少し、独〓のものお金蜜缶〈般山志〉と雲ふ、唐山には無〓の者あり、集解に無〓者名焦子と雲、再び接換する時は、無〓になること秘伝花鏡に雲り、接がずして自然と肉多く、〓小にして山椒の大さなるお椒子枇杷と名くと、女南甫史に雲り、上品なり、枇杷は和漢共に夏熟す、中山にては正月に熟す、伝信録に、枇杷与中国無異、形略長如棗、元旦食新為百果先と雲、此〓和の方書に巴実と名く、一〓の者お用ゆ、その形正円なり、唐山にては円〓お用て、つりやひ人形のおもりとす、故に〓お、定風珠〈花暦百詠〉と名く、つりやひ人形一名みづくみ人形、やのすけ〈京〉はりやひ人形〈伊州〉と雲、此外方言多し、