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後拾遺和歌集
十九雑
小倉の家にすみ侍けるころ、雨のふりける日、みのかる人の侍りければ、山ぶきの技おおりて、とらせてはべりけり、こヽろも得で、まかりすぎて、又の日山吹のこヽろもえざりしよし、いひにおこせて侍けりる返事に、いひつかはしける、 中務卿兼明親王 なゝへ八重花はさけども山ぶきのみのひとつだになきぞかなしき