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重修本草綱目啓蒙
二十四喬木
相思子 とうあづき(○○○○○) なんばんあづき(○○○○○○○) てんじくさヽげ(○○○○○○○)〈薩州〉 一名美人豆〈花暦百詠〉 赤小豆〈同上、紅豆卜同名、〉 相〓子〈秘伝花鏡〉 樹一名相〓木〈正字通〉 紅闘木〈事物紺珠〉 雞翅木〈物理小識〉 古は京師に一樹あれども今はなし、其葉槐の葉よりは小く、合歓(ねむの)葉より大なりしと雲ひ伝ふ、この実は赤小豆の形にして、半は黒く半は赤し、古渡は黒赤鮮にして美し、其後別に渡らず、隻竜脳中に雑へ来るのみ、この物及び海紅豆お竜脳中に入れ置ば、竜脳耗せずと雲ふ故なり、其色黒赤分明ならざるもの多し、至て下品なるものは全く黒褐色にして、黒きところなし、その質至て堅し、故に唐山にては鑲嵌(ざうがん)に用ゆ、近年新渡あり、その色甚美はし、下種して生ずるものあり、葉は皂(さい)莢(かち)葉に似て茎弱く、草本の如し、又唐山にて一名赤小豆とも呼ぶ故、誤て神曲に用る者あること本草必読に雲へり、今新渡神曲に完粒の入たるあり、