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大和本草
十果木
柑(くねんぼ/かうじ) 俗に九年母と雲、名義未詳、木蜜橘より長じやすく、早くみのる、虚冷の人不可食、性寒、続日本紀九、聖武帝神亀二年播磨直弟兄初賚甘子従唐国来、佐味虫麻呂先殖其種結子といへり、橘柑もと異国より来る、夏蜜橘あり、柑より小に、蜜橘より大なり、皮色青し、夏に至て熟す、実も皮も味も柑に似たり、柑類なり、蜜橘より皮厚く味淡し、橘類に非ず、広州記曰、羅浮山橘夏熟す、実大如柿、これ本邦の夏蜜柑歟、りまんと雲物あり、柑の類なり、味不好、隻切て酒の肴とす、大さは柑の如、味酸し、