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大和本草
十果木
朱欒(らん/ざんぼ) 本草に朱欒は柚の釈名に載て別に条お不立、橘譜曰、朱欒顆円実、皮麤弁堅、味酸悪不可食、其大有至尺三四寸囲者、摘之置几案間、久則其臭如蘭、今按是ざんぼなり、本草時珍雲、柚大者謂之朱欒、最大者謂之香欒、朱欒類近年本邦にも多し、柑橙属なり、大なるおざんぼと雲、葉は柑に似たり、実は橙に似て、其大さは囲一尺五寸にいたる、皮黄に肉厚して香し、色黄白なり、塩豉に蔵むべし、なかこは酸くして不可食、是本邦に所在の諸果の内最大なる者なり、長崎に多し、他州にもあり、ざんぼに数種あり、一種上すこし光る、味あしヽ、上すこしくぼきあり、味よし、一種肉赤し食ふべし、一種橙子より甚大にして頸あり、色黄にして味良、実下り垂る事諸果に異り、一種くびありて橙子の大さなるあり、味酸く悪し、又一種頸なく円くして、橙子の大さなるあり、肉あつくなかこ小なり可食、又味酸くして不食もあり、猶形味大小異なるあり、小なるは俗にじやがたらみかん(○○○○○○○○)と雲、皆是朱欒なり、葉は皆橙柑に似たり、枝有刺、或無刺、其実世人乾作器、納茶香烟草