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草木性譜

枸櫞(まるぶしゆかん) 和産なし、漢種お伝へ盆種とし養ふ、其性頗る寒お畏る、夏花お開き果お結び、秋後熟して黄色香気あり、果中穣〓(ふくろたね)なし、これお截るに蘿蔔( /だいこん)の如し、一種仏手柑〈枸櫞釈名〉も亦穣〓なし、凡果中に〓なきは、分生継続の理お失ふ、若接換〓挿せざれば、種の尽るに至らむ、万卉の常性に異なる者なり、柑橘橙柚の類は、皆葉の本に小葉有り、此二品小葉なく、聊其萌ある而已、