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重修本草綱目啓蒙
二十四喬木
烏臼木 とうはぜ(○○○○) なんきんはぜ(○○○○○○) 一名了臼〈大倉州志〉 〓〈品字揃本字〉 柏〈大倉州志俗字〉 美蔭〈蓬窓続録〉 桕油樹〈万病回春〉 木子〈長沙府志、獼猴桃と同名、〉 烏臼は漢種なり、今諸国に栽る者多し、その葉形円に扁くして尖りあり、数多く互生す、嫩なるは色紅、長ずれば色緑、枝葉甚繁密にして、日光お透さず、納涼に宜し、故に依雅臼影と雲、夏月枝梢ごとに花穂お生ず、長さ三四寸、黄白色にして栗穂の如し、穂の本に実お生ず、形円微扁にして三道ありて、続随子の如し、初は緑色、熟すれば黒褐色、これお破れば三子あり、大さ豆の如し、外に白粉ありて〓お包む、唐山にてはこの白粉お採り、製して蝋とす、烏臼蝋と雲、唐山にて漆及はぜの実より蝋お採ることなく、烏臼実より採のみなり、其蝋虫白蝋より柔にして上品とす、是お皮油、〈品字揃〉と雲、白粉の内に〓〓あり、その内に仁あり、仁より採る油お清油、〈物理小識〉木油〈南寧府志〉と雲、食用に堪へず、惟灯油となし、傘に用てよく水お防ぐと雲ふ、この蝋及び油お採る法、天工開物に詳なり、秋に至り落葉のとき、紅紫にして美し、故になんきんはぜと雲、 増、蘭山翁今諸国に栽ゆる者しと雲は穏ならず、此木本邦の地に応ぜざるにや、希にこれお栽ゆる者ありと雖ども、その実軽虚にして、内に〓なきゆへ蒔て生ぜず、又圧条、接換、〓挿共に活せず、故に一根お得るも容易ならず、余〈◯梯謙〉近年これお殖すの妙法お得たり、其法春月大さ筆管以上の根お掘り、地上に出すこと一寸許にして、これお栽ゆべし、速に芽お発して生長す、奇術と謂ふべし、