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重修本草綱目啓蒙
二十四喬木
黄櫨 詳ならず 櫨の字和名抄にはにしと訓ず、又黄櫨もはにしと訓ず、皆非なり、はにしははじなり、今ははぜと呼ぶ、即漆の一種なり、故はぜうるし、一名やまうるしと雲、山中に甚多し、葉は漆葉に似て粗き鋸歯あり、秋月早く紅葉し甚美し、はぜもみじと雲、又一種実より蝋お採る者おもはぜと呼び、諸国に多く栽ゆ、葉に鋸歯なくして漆葉より長し、是も亦漆の一種なり、黄櫨は救荒本草に図あり、葉円木黄、枝茎色紫赤、葉似杏葉而円、大木可染黄と雲時は、はぜの類に非ず、 増、実より蝋お取る、はぜに品類多し、実に大小あり、実大なる者は蝋お得ること多く、小なる者は少し、筑前松山に多く作る、松山種と雲、上品なり、 本邦にて櫨おはぜと呼ぶ、琉球国志略に、櫨一名油樹子可搾油と雲は、即はぜのことなり、琉球には和語お通用する故なり、