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広益国産考

松山お急に仕立る心得〈◯中略〉 九州或国諸侯の藩中に山奉行お勤る正田何某といへる人あり、〈◯中略〉櫨木の有りけるに、登らざる木ありければ、筑後国は、みな接木にして植ぬれば、登らざる木なしといへる事お聞及び、態と筑後の国へ人お遣し、接人お両人雇ひ、是お有来れる櫨の登らざるおみな接木し、尚接方お習はせ仕立ける儘、其所に用る蝋は、他国より買入ざるやうになりて、国益となりたり、