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重修本草綱目啓蒙
二十二味
塩麩子 ふしのきのみ(○○○○○○) ふしのき(○○○○)〈以下木名〉 ぬるで(○○○) ぬで(○○)〈濃州〉 ぬりだ(○○○)〈備前〉 ゆりで(○○○)〈佐渡〉 のでのき(○○○○)〈尾州上総〉 かつき(○○○) かつぎ(○○○) かつのき(○○○○)〈奥州〉 かちのき(○○○○) 勝軍木 さいはいのき(○○○○○○) あかべそ(○○○○)〈城州醍醐〉 ごまぎ(○○○)〈津軽〉 おつかどのき(○○○○○○)〈信州〉 やまはぜ(○○○○)〈土州〉 めうるし(○○○○)〈江戸〉 一名膚木子〈薬性奇方〉 樹塩〈丹鉛〓録〉 烏塩〈華夷考〉 浮木子〈外台秘要〉 塩醋子〈広東新語〉 小血竭〈百一選方〉 主〈証類本草〉 木一名〓木〈集解〉 塩敷樹〈物理小識〉 塩膚木(○○○)〈正字通〉この木山野に自生多し、丈余の高にして喬木に非ず、枝条四に繁り春新葉お生ず、形漆葉に似て闊して粗歯あり両対す、一葉の内節ごとに直葉ありて漆葉に異なり、夏已後は葉ごとに泡(ふくれ)お生じて、其中に虫あり、秋に至り早く紅葉して落づ、ぬるでもみぢと雲、山中に生ずる者は樹枝或は葉の茎、或は葉背に一寸許の袋の如き者お生ず、其形円扁長短一ならず、初青く後茶褐色となる、是虫の巣にして薬用の五倍子なり、俗名きぶし、末となすおふしのこと雲、この者お生ずる故、木おふしのきと呼ぶ、五倍子は虫の部に本条あり、夏に至り枝梢ごとに一尺許の穂お生ず、枝叉多して細白花お開く、数百千簇りて漆の花に似たり、後実お結び下垂す、実の形円扁にして漆の実より小なり、外に白粉あり、味鹹し、故に木塩天塩の名あり、皮お去れば扁子あり、酸棗仁に似て茶褐色甚堅し下、種して生じ易し、是塩麩子なり、