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大和本草
十一園木
多羅葉(たらよう) 葉大に長くしてあつし、実は赤くして多く、所々あつまれり、又雄木あり、無実、四時葉あり、天竺の貝(ばい)多羅葉に仏経おかく由、西域の書に見えたり、此葉なるべし、昔或古寺の重物に、貝多羅葉なりとて在しお見たりしが、此葉の形にして猶大なる物なりき、西域記に貝多羅樹、果熟して即赤し如大石榴、人多食之といへり、然れば此地にあると不同、此木の葉のうらに竹木の刺お以て文字おかくに、其あと黒くして、恰墨にて書くが如し、然れば又此木真に多羅樹なるべし、此木の皮おはぎて、とりもちにするなり、十大功労に同じ、此木古来吾邦にありしにや、処々山林にあり、多羅木と雲ものは別なり、又一種西土にて、大もちの木(○○○○○)と雲もの、たら葉に似たり、是たら葉の別種也、冬も葉不脱、