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重修本草綱目啓蒙
二十四喬木
椿樗〈◯中略〉 樗 ごんずい(○○○○) きつ子のちやぶくろ(○○○○○○○○○) すヾめのちやぶくろ(○○○○○○○○○) むめぼしのき(○○○○○○) つみくそのき(○○○○○○)〈泉州〉 はぜな(○○○)〈土州〉 くろはぜ(○○○○)〈同上〉 だんぎな(○○○○)〈〓州〉 はなヽ(○○○) だんきり(○○○○)〈共に同上〉 たんぎ(○○○)〈勢〉〈州〉 くろくさぎ(○○○○○)〈播州〉 ごまのき(○○○○)〈肥州〉 一名悪木〈名物法言〉 臭椿〈群芳譜〉 鬼目〈証類本草〉 武目〈事物異名〉 婆娑羅樹〈天中記〉 華〈通雅〉 処々山中に多し、形状構及び接骨木の如く、枝条四布す、椿の如くに聳直ならず、葉は接骨木葉に似て枝あり、葉の茎赤し、葉に臭気あり、夏月枝梢に細花簇り開く、膚木花に似て黄白色、後実お結ぶ、南天燭子より大にして、扁く微尖あり、秋に至て色赤く美し、自ら二つに開て、小円子二三顆殻に附く、椒目(さんせの)の大にして黒く光りあり、霜後葉枯る、 椿樗二木共に雌雄ありて花実ある者なり、然るに禹錫の説に、未見椿上有莢者、然世俗不弁椿樗之異、故呼樗莢為椿莢爾と雲は、唐山にも椿の実お結ぶ者希なる故誤るなるべし、既に連翹の条に、似椿実未開者と雲時は、椿に実あること知るべし、 薬用の椿根皮舶来の者は、皮厚して淡褐色内に布紋あり、薬舗に真の椿根皮と呼ぶ者は、皮薄して褐色布紋なし、是山茶根皮なり、用ゆるに堪へず、旧と椿にたまつばきの古訓ある故に、山茶花お椿と書き来るに因て誤る、きやんちんの根皮お真物とすべし、