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塵袋

梨お大谷と雲は総名歟、子細如何、 広志曰、沈陽北芒山有張公夏梨、海内唯有一樹と雲へり、張公と雲人、北芒山大公と雲ふ所に居たりけり、其所にありける夏なしの勝れたりけるより雲はじめて梨の名とす、外にも又もなき梨なりけり、周文王弱枝棗おなじこと也、今はなつめの異名とす、李朱仲と雲ふには二説あるべし、一には周文王すもヽうへてもち玉ける、その名お朱仲と雲ふ、一には房陵と雲ふ人あり、その人の家に縹李と雲ふすもヽありけり、これお朱仲とも雲ふ、朱仲はぬしの名也、縹李と雲ふは、すもものいろはなだいろなるなり、かきお烏棹雲ふは上林菀に此かきありけり、いろくろかりけるにや、