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重修本草綱目啓蒙
二十三香木
篤耨香〈◯中略〉 附録、胆八香、ほるとがるの油 波爾杜瓦爾(ほるとがる)は蛮国の名なり、紅毛人この地より采り来る、故にほるとがるの油と雲、この樹、本邦暖地に多し、喬木なり、寒地に移し栽るも育し易し、俗名づくのき(○○○○)、〈〓州〉しらき(○○○)〈九州〉もうがし(○○○○)〈薩州〉ばぼそ(○○○)〈豆州〉しいとぎ(○○○○)、〈阿州〉葉は楊梅葉に似て薄く、長さ三寸許り、鋸歯粗く互生す、四季に葉換る、其落んとする時色赤し、故に年中紅葉相雑る、夏葉間に枝叉お出し花お開く、黄色にして粉の如く、竹柏の花に似たり、後実お結ぶ、長さ六七分、両頭尖り、〓実に比すれば微し狭小、外皮は熟すと雖ども緑色なり、内に厚〓あり、〓中に仁あり、是お搾りて油お采る、即ほるとがるの油なり、蛮名おとり〈油〉めれいひ、蛮産は実大なり、和産は小なり、近来続随子の油お以て偽り売るものあり、麻油の如にして色白し、真物は凝りて色黄なり、混ずべからず、