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大和本草
十一園木
梧桐(あおきり) 其皮青し、故又青桐と雲、古人詩歌に詠ぜしはこれなり、佳木なり、園庭に多く植べし、世に白桐は多く、梧桐は希なり、夏花さき、秋みのる、実の殻われて開く、実は殻に付て不落、実お炒て食ふべし、実おうへて生長しやすし、種樹書曰、九月収子、二三月作畦種之、初生の冬、雪霜風寒おふせぐべし、中華に梧桐お以て琴瑟に作り器材とす、上材なり、今島桐とて世上に良材とす、器に作りて白桐にまされり、四国より出づ、或隠岐より多出づ、故にしまきりと雲、一説に初磯岳の島より出、故に名くと雲、未知何是、其実胡椒の大の如し、凡医方に丸薬桐子の大の如しと雲は、此実の大さなり、又胡椒の大さに丸すべし、二物の大さ同、