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本草弁疑
四木
梧桐(ごとう)諸書に、丸量お梧桐子の大さと雲こと、今人不知之、唯桐(きり)のことなりと心得て疑之、桐の子の大は銀杏の如し、是お五七十粒は難用、又仁の大は、胡麻の如く扁小なり、尚疑ふ、上焦の用薬は小円にし、下焦の用薬は大円にする、是定例なり、然るに地黄丸下部の薬にして此旨に不合と雲ふ、是皆本綱お熟読せざる故なり、 時珍、其子の大如胡椒(こせう)と、又胡椒の下に、大如梧桐、互に引之、 日木所所に多し、葉は桐に似て木皮青く、花は栗に似て、細くさがりて莢お生ず、長三寸許り、五片あり、一片掌おつぼめたるやうにて、其縁に円子五つ六つなりて色赤く、皮皺みて、大さも皺も能胡椒に似たる者なり、和名梧桐きりともあおによろりとも雲なり、子お和ぼだいじとも雲ふ、ぼだいじに似て小なる故也、