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槐記
享保九年閏四月十八日、仰に〈◯近衛家熙、中略、〉後西院の御時、山茶お御好ありければ、処々よりこれお献上す、珍花は手鑑にして、極彩色にて片表に九づヽ花お記されしに、年々に冊数多なりけるほどに、ついに五十巻ばかりになれり、所詮かぎりなきことなりとて止られたり、これによりて思ふに、菊の椿のと雲もの、人の数奇によりて数多になるものとみえたり、一々漢名あるべからずと仰らる、