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大和本草
十二花木
瑞香(ぢんちやうけ) 沈丁は倭俗の名づくる所なり、本草綱目芳草門に瑞香あり、和俗の所謂沈丁花と相同じ、凡本草に木お草類にのせ、草お木類にのせたる事多し、灌木の類所載山礬花、与沈丁花相似不同、但画譜所載山礬与沈丁花相合、然れば瑞香山礬は一物二名なるべし、木の高二三尺、葉はみかんに似、花は丁子に似て、紫白色香遠し、故に七里香とも雲由、中華の書に見えたり、園史曰、植るに根おあらはせば不栄、湿おいみ日おおそる、水おしげくそヽぐべからず、花おちて後小便おそヽぐ、或は衣お洗ふ灰汁おかくる、又煎茶お根にそヽげば虫くはず、正月に花おひらく、白花なる者あり、希也、国俗沈丁花と雲あやまりてりんちやうと雲、梅雨の前四月、或は梅雨の中に挟(させ)ばよく活く、糞おいむ、世俗小児の毒也と雲非也、本草に瑞香有数種、三(みつ)また、瑞香の類にて相似たり、枝に三椏あり、京都北野にあり、花丁子(○○○)、木似山礬(ぢんちやう)、十二月花おひらく、つぼみも沈丁花に似たり、夏は葉落て冬葉生ず、異木なり、北野にあり、