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重修本草綱目啓蒙
二十一山果
安石榴 いろたま(○○○○)〈古名〉 ざくろ(○○○) じやくろ(○○○○) 一名阿措〈酉陽雑俎後集〉 石阿措〈事物異名〉 安榴 宝珠〈共に同上〉 塗林〈書蕉〉 百子甕〈清異録〉 金〓〈群芳譜〉 紫房艮研〈名物法言〉 珠実〈行厨集〉 朱実紅膚〈事物紺珠〉 玳瑁殻 紅狐囊 綃囊 蚌珠 銀礫 玉房 村客柴 嬰粟〈共同上〉 石醋〈花暦百詠〉 花一名榴花〈秘伝花鏡〉 火珠〈尺〓双魚〉 剪紅綃〈名物法言〉 紅巾〈事物紺珠〉 紅裙 丹葩〈共同上〉 樹は高さ丈余、枝四方に広く繁り、木に節多して、古木は異形になりて百日紅の如し、春新葉お生ず、形細長くして両対す、梅雨中花お開く、単葉重葉千葉あり、単葉なる者は実お結ぶ、みざくろ(○○○○)と呼ぶ、山東通志に果石榴と雲、千葉なる者は実お結ばず、はなざくろ(○○○○○)と呼ぶ、山東通志に花石榴と雲、其花深紅色なる者は常品なり、又白色淡紅色黄赤色あり、唐山には紫花もありと雲、花後実お結ぶ、秋に至り熟し自ら裂く、内に子あり、紅色なる者は常品なり、色白き者おしろざくろ(○○○○○)と雲、宗奭の説の水晶石榴なり、味甘して上品なり、一名水精粒、〈事物紺珠〉玉榴、〈泉州府志〉又紅子の者にも、甘酸の二種あり、甘き者は〓小し、甘石榴(○○○)と雲、一名天漿、〈集解〉酸き者は〓大なり、酸石榴(○○○)と雲、一名柴榴、〈泉州府志〉薬には多く酸石榴皮お用ゆ、一種ちやうせんざくろ(○○○○○○○○)あり、一名なんきんざくろ(○○○○○○○)、木の高さ尺に盈たずして花実あり、肥地に栽ゆれば丈許に至る、花色殊に赤き故、火石榴(○○○)と雲、海石榴(○○○)も同物なり、こヽに分て二つとするは非なり、凡そ榴は不時花(かへりばな)あり、火石榴は殊に多して実も常にあり、花実共に小し、単葉千葉共にあり、