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大和本草
十二雑木
八手木(やつてのき) 西州に多し、葉の形蓖麻の如く、又かへでの葉のごとくにして、甚大なること盤の如く葉あつし、とちの木の葉にも似たり、冬不凋落、葉の本一にして岐多く、七八にわかる、白花お開き、黒き実なる、毒ありと雲、鰹のさしみお八手の葉にもりて食すれば死すと俗にいへり、其木の高五六尺に不過、庭に栽る人多し、然れども佳木にあらず、筑紫には山林にもあり、古来日本にある木なるべし、京畿にて未見之、八手お肝木と雲人あり非なり、肝木は別也、