[p.0585]
重修本草綱目啓蒙
二十五灌木
山茱萸 通名 一石名棗〈万病回春〉 湯主〈輟耕録〉 実棗児樹〈救荒本草〉 古よりぐみと訓ずるは非なり、享保年中に漢種渡り、今世に多く栽ゆ、木は高大なり、葉は土牛膝(いのこづちの)葉に似て、毛なく両対す、冬は葉なし、春未だ葉の出ざる時、枝の節ごとに、小花数多く簇り開く、四出黄色、大さ三分許り、瓶花に用ゆ、後実お結ぶ、形桃葉珊瑚(あおきの)実の如し、初緑色秋後熟して、赤色、南京種は葉形細狭実に肉少し、韓種は葉闊円実に肉多し、和産も希にあり、葉は南京種より狭く尖れり、実、最小く形上大に下小なり、 増、夢渓筆談雲、山茱萸、功在〓、其味酸澀、正是其有功処、去〓則無功、不知物性也、 こヽに土牛膝葉に似たりと雲は誤なり、くるまみづき、一名かさみづきの葉に能く似たり、此実蒔て三年お経ざれば生ぜず、