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大和本草
十二花木
躑躅(つヽじ) 大小霧島、其外種類、近年甚多し、かぞへつくすべからず、各其名あり、三月花お開く、山州〓州河州に多し、山にも紫つヽじ、よど川つヽじ、紅つヽじあり、本草毒草羊躑躅の附録に、山躑躅おのせたり、凡躑躅杜鵑花は非草、小樹也、故今改為木類、つヽじは新にうふるには根およく洗ひ、旧土お去、細黄土にうへ、日お掩ひしば〳〵水おそヽぐべし、根下お堅くつくべからず、六月に新枝お挟むべし、旧枝につら子切て、好土に挟し、日おおほひ、しば〳〵水おかくべし、細黄土よし、凡躑躅杜鵑花、共に糞溺おいむ、米泔魚汁お時々そヽぐべし、葉に水おそヽぐべからず、根にそヽぐべし、〓華つヽじ、花三月さく、花落て葉生ず、花黄にして如萱草色、花は重葉也、葉つ子のつヽじに異り、葉の頭円く柔なり、羊躑躅は、もちつヽじと雲、黄花三四月ひらく、高二三尺ばかり、葉は桃に似たり、花大毒あり、あさぎつヽじ、葉は大ぎりしまの如く、枝は蔓の如く長し、小木なり、花は綿花に似て小なり、色あさぎ也、春花さく、木不高、花よからざれどもめづらし、大山の岩上などにあり、山中に紫花の春つヽじ、木の高一丈許なるあり、つ子のつヽじの花の三倍の大さあり、花うるはし葉三角なり、