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大和本草
十二花木
杜鵑花(さつきつヽじ) 躑躅と一類別種なり、躑躅花落て後、此花漸開く、合璧事類に杜鵑なく時始てひらく、故に名づくといへり、四五月花開く、品類猶多し、瓔礫つヽじ、山中にあり、紫花小なり、枝に連りさきて下り垂るヽ事、瓔礫お垂るヽが如し、樹はつ子の杜鵑花より大なり、高一二丈なるもあり、冬は葉おつ、四五月に花さく、古昔は、躑躅杜鵑花の類多からず、近年其品類甚多く出、あげてかぞふべからず、時好によつて変化百出する也、山茶花(つばき)、菊牡丹、芍薬、百合などもしかり、凡つつじも杜鵑花も、沙おいみ、赤土あづ土に宜し、糞おいむ、米泔お時々澆べし、園史に、樹下陰処にうふれば青茂す、豆餅お水にひたし、くさらかして、そヽぐべしといへり、正月枝お赤土に埋みて取木にすべし、花史曰、杜鵑花、春初抜枝著地、用黄泥覆之、俟生根截断、来年分栽、杜鵑花おさす法も躑躅に同、