[p.0609][p.0610]
古今要覧稿
草木
柿 柿のもみぢは伊勢家集にみえしぞはじめなるべき、西土にても柿の霜葉お愛せるよし、酉陽雑俎花鏡等に霜葉可玩と、これ七絶の一なり、柿は実の赤きより名お得たるにや、葉も又紅葉す、〈和訓〉〈栞〉柿は種類甚多し、その実の形方あり、円あり、長あり、扁あり、大あり、小あり皆形により名お異にす、又産するところの地名お以よび、或は人名お以名づけしものあり、その葉霜後鮮紅愛すべし、是も若木は能そむるものなれども、実お多く結びしは、紅葉はえなく、実のらざる年はよく鮮紅なるものなり、