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昆陽漫録
鉄樹 〓鴫暁筆に、鉄樹〈〓鴫暁筆は一条の禅閣の作の暁記のことヽかや〉と雲ふ木お載せたり、今も薩摩の辺にあるにや、その文左の如し、 予九州お徘徊せし時、薩摩にて見侍りし鉄樹といふ木侍り、三四尺より高きはなし、葉も茎も鶏頭花に似て、それよりはからびて誠の鉄のうち枝の様なり、花は女郎花などのやうにて、一処にかたまり、梢ごとに咲きて色はから紅のごとし、鉄お末にして、肥しにはするといへり、援元には見ぬ木なり、