[p.0637]
重修本草綱目啓蒙
二十五灌木
蔓荊 はまはひ(○○○○)〈和名抄〉 はましきみ(○○○○○) はまかづら(○○○○○) はまごう(○○○○)〈佐渡〉 はまつばき(○○○○○)〈同上〉 ほう(○○)〈土州〉 ほうのき(○○○○)〈同上〉 はまぼう(○○○○)〈芸州、同名あり、〉 はまはぎ(○○○○)〈雲州〉 一名陸続丸〈輟耕録〉 僧法実〈郷薬本草〉 海浜湖辺沙磧中に多く叢生す、遠く望ば水楊(かはやなぎ)の如し、高さ四五尺、其本は地上に延て藤蔓の如し、土に近づけば皆鬚根お生ず、枝葉両対す、葉の形円にして大さ一二寸、面深緑色背は白色、風お得て翻白し観つべく、芬香自ら至る、夏月枝梢ごとに茎お抽すること五寸許、枝お分ち花お開く、大さ五六分、本は筒弁にして、末は五出、深碧色美し、後円実お結ぶ、胡椒より大なり、熟すれば黒色下に五弁の蒂あり白色、この子皮至て厚し、内に白仁あり、是薬用の蔓荊子なり、此木及葉香気多し故に葉お末して香とす、又木皮の未お莽草(しきみ)葉の末、木蘭の皮の末に和して、下等の線香に作る、