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重修本草綱目啓蒙
二十五灌木
牡荊 にんじんぼく(○○○○○○) 一名土欒〈通雅〉 木欒〈夢渓筆談〉 鉄荊条〈盛京通志〉 人精〈外台秘要実の名〉 金鐘花〈薬性要略大全七葉の者〉 もと和産なし、享保年中漢種渡りてより世上に多し、其木叢生す、高さ丈余、枝葉両対す、春新葉お生ず、三葉一蒂後五葉となり、参葉の形の如し、故ににんじんぼくと名く、一葉の形長く尖り鋸歯あり、香薷葉に似たり、淡緑色、初出の者は微紫色お帯ぶ、新枝は方にして緑色、旧枝は円にして褐色なり、折れば中に方心ありて衆木に異なり、夏に入て枝梢ごとに穂おなし花お著く、枝多して長さ尺に近し、花はひきおこしの花に似てうすふぢ色、後実お結ぶ、胡麻の大さにして円に微長す、熟すれば黒色、方書に謂ゆる黄荊子是なり、秋後葉枯れ落、春秋枝お折て〓挿すれば活し易し、この枝お尺余の長さに切り、両〓上に架し中間火お以焼く時は、両頭より汁出お器お以て承採るお荊瀝と雲、竹瀝と効お同す、熱多気虚、不能食者用竹瀝、寒多気実、能食者用荊瀝と発明に見へたり、