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本草綱目訳義
三十六灌木
枸〓地骨皮 通名也 くこと雲は品類多し、市中にある者は、野に自然のは鬼くこと雲もの也、おらんだぐこ、あまくさくことも、是は刺多く葉互生也、葉形いぼたに似て長し、初生の葉は食用にし、茶の代にもする、夏以後葉間に三四分のとうがらしの花の如形也、五弁紫赤色茶後青巾実巾二分長三四分ほど熟して赤くなる、わればとうがらしの如き実多くあり、此おとり薬店に枸〓と雲売、味苦し、下品也、総て枸〓の和名ぬみぐすりと和名抄にあり、今は通名也、やぶとうがらし、〈阿州〉おにくこは枸棘也、真のくこは唐種計也、漢名甘州枸泥是也、とうくこと雲也、形同して葉大く刺少し、実大にして円し、ゆすらむめの如し、赤して見事也、甘き味あり、苦みなし、又実長じて先細くなるあり、長さ六分計のとうがらしの如くなるあり、皆真の枸〓也、是お薬用にするがよし、総て此類は茂り易し、此根の皮お使ふ也、即地骨皮是は薬店にあるは和産計也、