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重修本草綱目啓蒙
二十四喬木
桐 ひとはぐさ〈古歌〉 きり 同木〈和方書〉 一名花桐〈〓雅〉 白鉄樹〈事物紺珠〉 栄榔〈同上〉 小義〈清異録〉 この木種生は、長ずること遅し、切る時は早く長ず、故にきりと名く、白花桐、紫花桐の別あり、共に花お先にし葉お後にす、集解に、冬結似子者と雲は、冬より蕾の出るお雲、二三月に至り花お開く、形胡麻の花の如して大に、長さ一寸余、長穂おなす、色に紫白の別あり、花後実お結ぶ、黄蜀葵実(とろヽの)実の如にして、小扁にして尖あり、長さ一寸余、内に扁薄小子多し、下して生じ易し、花衰る時新葉お生ず、大なる者は一尺余、両対す、木は用て箱案の類に作る、俗説に、女子お生るに桐お栽ゆれば、嫁時には大木となり、器物に作るべしと雲、桐お栽ゆることお忌まず、唐山にては栽ゆることお忌む、事林広記俗雲桐大則不利主屡験と雲、又広東新語練の条に、村落間凡生女必多植之、以為嫁時器物と雲、本邦にては、練は刑に用ゆる故、家に栽ゆることお忌む、是和漢の異なり、