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古事記伝

阿波岐原(あはぎはら)〈岐お濁るべし、清はわろし、また之(が)と添て訓もわろし、〉書紀に檍原とかきて、檍此雲阿波岐とあり、和名抄に、説文雲、檍梓之属也、日本紀私記雲阿波木、今按又橿木一名也、見爾雅注とあれば、此樹は今世に阿乎木(あおき)と雲物にはあらじ、なほよく尋ぬべし、〈〓古今集なる卜部兼直が歌に、あおきがはらとあり、されどこれも古本には、あはきがはらとぞある、〉さて是も地名にはあらで、松原檜原柳原柞原などの類にて、たヾ此木の多く生たる地お雲るなるべし、